著者の大原利充さん(豊橋市在住、昭和13(1938)年生まれ)は、小学校入学時から高校卒業まで(昭和20~32年)、川合内貝津にお住まいだったそうで、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
デンソー社員として西三河に出た後に川合大原家の千年を超える由緒深きを知り、55歳定年を機に川合はもとより愛知、三重、滋賀にまたがる大原一族の調査と各地の大原講との交流に乗り出しました。
見慣れた赤沢の地の神の写真や中貝津の大原和子さん宅に伝わる大原家先祖の系図などが登場し、地元川合の印象がまた少し改まったように思いました。
『三河川合の大原家先祖を訪ねて』
『三河国名所図絵 絵解き散歩』(松岡敬ニ編著 風媒社 2018年発行 本体1700円+税)
豊橋の夏目可敬によって1844(天保15)年に着手されながらも死後70年を経た1933(昭和8年)にようやく日の目を見て上中下3巻が出版されたという『三河(参河)国名所図絵』。「名所図絵(図会)」とは今なら「じゃらん」や「るるぶ」のような観光ガイドブックだったらしいのですが、それを豊富な絵図と現在の写真でていねいに解説しています。
東・西三河で「三河国」なのですが、うれしいことに地元川合近辺の自然造形についてのページが全体の1割近くあり、以下のとおりです。(「写真」の後の数字は写真の枚数)。
有名な景観をいくつもダム建設(豊川用水)のために失ってしまったことがわかります。
p. 66 豊川・鳳来寺鉄道沿線名所図絵
p. 67 写真1葉(鬼石)
p.113 コラム「名所図絵にない奇岩獅子岩」 写真(うめの湯から見た獅子岩、他2)
p.114~ 石橋と乳岩 名所図絵から「川合村 石橋」、写真3葉(乳岩)
p.116 コラム「乳岩と絵葉書」 写真(絵葉書2葉、バリバリノキ2葉)
p.117 コラム「『日本風景論』と石門」 写真2葉
p.118~ 阿弥陀様の姿が現れる渓流 名所図絵から「阿弥陀ヶ瀬」 写真3葉(蝉が滝、女郎岩、烏帽子岩)
p.120~ 滝壺計り知れず川合村穴滝 名所図絵から「川合村穴滝」 写真(穴滝3葉、他1葉)
p.122~ 良質の砥石原石を切り出す 名所図絵から「名倉砥を切り出すの図」 写真4葉